2025年ベトナムの電気料金の動向:生活者のための情報
はじめに: 2018年以降、ベトナム・ハノイの家庭向け電気料金はどのように推移し、どんな背景で変化してきたのでしょうか。本記事では、在ハノイ日本人向けに電気料金の年次推移と値上げのタイミング・理由、そしてEVN(ベトナム電力公社)の経営状況や再生可能エネルギー導入の影響を整理します。また、一般家庭への影響や日本人生活者目線での負担感を分析し、最後にベトナムの住宅事情に即した節電アドバイスを紹介します。表やグラフを交えて、最新動向を分かりやすくまとめました。
ハノイの電気料金推移(2018~2025年)
2018年~2025年のハノイ家庭用平均電気料金(VAT除き)推移。2019年に大幅値上げ、その後2023年以降に段階的な上昇が見られる。単位:ドン/kWh(ベトナム通貨)
まず、2018年から現在(2025年6月)までのベトナム家庭用電気料金(ハノイ)の年ごとの推移をデータで確認します。ベトナムの電気料金は全国一律の公定価格で、政府とEVNが決定しますtrade.gov。以下の表に平均的な小売電気料金(家庭用、付加価値税抜き)をまとめました。
年度 | 平均電気料金 (ドン/kWh) | 備考・動向 |
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2018年 | 1,720.65 ドン | 前回改定は2017年12月(+6.08%)。2018年は値上げ見送り |
2019年 | 1,864.44 ドン | **+8.36%**値上げ(3月20日から適用) |
2020年 | 1,864.44 ドン | 値上げ凍結。新型コロナ対応で一時的な料金割引措置あり |
2021年 | 1,864.44 ドン | 値上げ凍結。コロナ禍で追加の減免措置(後述) |
2022年 | 1,864.44 ドン | 値上げ凍結。燃料価格高騰でEVN巨額赤字発生(後述) |
2023年 | 2,006.79 ドン | +3%(5月4日)および**+4.5%**(11月9日)の段階的値上げ |
2024年 | 2,103.12 ドン | **+4.8%**値上げ(10月11日) |
2025年 | 2,204.06 ドン | **+4.8%**値上げ(5月10日) |
上記の通り、2019年に約8.36%もの大幅値上げが実施されて以降、約4年間(2019~2022年)は公定料金の変更はありませんでした。しかし2023年以降、電気料金は複数回にわたり小刻みに引き上げられています。特に2023年5月に約3%上げたのを皮切りに、同年11月に4.5%、2024年10月と2025年5月にもそれぞれ4.8%ずつ値上げが行われました。結果として2023年初めから2025年半ばまでに合計18%超の上昇となり、2019年比でも約18%高い水準です。
電気料金は6段階の累進制の従量課金で、使用量が多いほど1kWh当たり単価が高くなります(後述の節電ポイント参照)。2023年11月改定時点では最安帯(~50kWh)が1,806ドン/kWh、最高帯(400kWh超)が3,151ドン/kWhでした。その後2025年5月の値上げに伴い、最高帯は約3,460ドン/kWhに達しています。つまり大量に電力を使う家庭ほど1kWhあたり約2倍の単価を支払う仕組みです。家族が多かったりエアコンを頻繁に使う家庭では、月の電気代が日本円換算で2万円(約400万ドン)を超えるケースもあり、必ずしも「物価が安いから電気代も安い」というわけではない点に注意が必要です。
電気料金改定の時期と背景
では、この期間になぜ電気料金が改定されたのか、その背景を振り返ります。主な値上げのタイミングと理由は以下の通りです。
2018年: 本来は2018年中に電気料金の値上げが検討されていましたが、当時のグエン・スアン・フック首相がインフレ抑制とGDP成長目標のため値上げを認めず見送りとなりました。このため2018年は前回2017年末の料金(1720.65ドン/kWh)のまま据え置かれました。
2019年3月: 約1年3か月ぶりに平均8.36%の値上げが実施され、平均料金は1,720ドンから1,864.44ドン/kWhに引き上げられました。この大幅改定の理由として、EVN副社長は「火力発電用石炭価格の上昇」と「発電事業者からの電力購入価格と小売販売価格の乖離(逆ザヤ)」を挙げています。近年の石炭価格上昇や為替変動により発電コストが上昇する一方、電力小売価格が抑えられていたためにEVNの電力事業は赤字が拡大。発電燃料の石炭やガスのコスト増加、水資源利用料の負担増も重なり、「販売価格がコストに見合わない」状況となっていました。この8.36%の値上げでようやくEVNは増大するコストの一部をカバーできるものの、老朽設備の更新や新規投資には依然として更なる値上げが必要と指摘されています。大幅値上げの影響で企業の生産コスト上昇や製品価格転嫁が懸念され、政府試算ではCPI(消費者物価指数)を+0.29%、GDP成長率を0.22%押し下げると見込まれました。
2020年~2021年: 新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済・国民生活への配慮から電気料金の据え置きが続きました。ただし、政府とEVNは電気料金そのものを据え置く代わりに一時的な料金減免措置を複数回実施しています。例えば2020年4~6月の3か月分については、一般家庭で月300kWh以下の使用分を10%割引する対策が取られました(300kWhを超える高使用世帯は支援対象外)。同様に、COVID-19患者の隔離・治療施設には電気料金全額免除、宿泊業など大打撃を受けた業種には20%割引やより安価な工業用電力料金の適用といった措置も講じられました。これらの緊急支援策により、政府試算で総額約11兆ドン(約506億円)の電気料金減収を伴う支援が行われています。結果として2020~2021年は公定の電気料金こそ1kWh当たり1,864.44ドンで据え置かれましたが、実質的な負担は一時的に軽減される形となりました。政府は別途、2020~2025年に毎年少なくとも2%以上の節電(消費電力量削減)を目指すよう国全体に指示を出すなど、省エネ推進にも動きました。
2022年: ロシア・ウクライナ情勢などに端を発する世界的なエネルギー価格高騰が直撃し、依然として電力料金を据え置いていたベトナムではEVNの赤字が深刻化しました。EVNはこの年、連結ベースで約26兆ドン(約1,120億円)もの巨額損失を計上し、累積債務が300兆ドン超に膨らんだとの報道もあります。EVN幹部によれば、2022年時点で電力の平均供給コストは1kWhあたり約2,098ドンに達しており、販売価格(1,864ドン)を大幅に上回っていました。主因は発電燃料コストの急騰であり、例えば発電用の輸入石炭価格は2020年比+186%、国内炭も2021年比30~46%上昇、石油も2021年比+18%といった具合で、さらに為替も約4%ドン安が進行し燃料調達費を押し上げました。加えて安価な水力発電が雨不足で大幅減産(前年比▲170億kWh)し、高コストな火力発電への依存度が増したことも響きました。このように2022年はコスト高と価格据え置きの矛盾がピークに達した年であり、EVNや産業界からは電気料金値上げの強い要望が出ました。しかし当局はインフレ圧力を警戒し年内の値上げを許可せず、問題は先送りとなりました。
2023年: 結局、政府は従来の「数年間据え置き→大幅値上げ」という方針から転換し、小刻みで段階的な値上げを容認する姿勢に変わりました。まず2023年5月4日付けで平均価格を3%引き上げ、1,864.44ドン→1,920.37ドン/kWhとしました。さらに同年11月9日には平均1,920.37ドン→2,006.79ドン/kWhへ4.5%の追加値上げが行われます。合計すると2023年中に約7.6%の値上げとなり、約4年ぶりの料金改定が2度にわたって実現しました。政府は今後も必要に応じ半年ごとに料金調整を行う方針を示しており、現行ルールでは燃料費や為替の変動でコストが3%以上増減した場合、EVNは最大5~10%の範囲で独自に電力料金を改定できる仕組みも整えています。11月の値上げ時、商工省は「直近の好調な経済成長率やCPI低下を踏まえ、企業・家計への負担増懸念はあるものの値上げを決断した」と説明し、政府も貧困世帯などへの支援策を講じて影響を最小限に抑えるとしました。実際、2023年11月までの累計値上げ率約13%によるCPI押上げ効果は0.04%程度との試算が報じられています。
2024年10月: 前回値上げ(2023年11月)から11か月ぶりに平均4.8%の値上げが実施されました。新料金は2,103.12ドン/kWh(VAT抜き)となり、結果的に2023年初からの上昇幅は約13%に達しました。政府は当時も電力需要増に対する安定供給の重要性を訴えつつ、直近のインフレ率低下で値上げ余地が生まれたと説明しています。一方で企業や家庭の負担増は無視できないため、貧困層への補助などを通じ影響緩和に努めるとしました。
2025年5月: さらに7か月ぶりとなる4.8%の値上げが行われ、平均価格は2,204.06ドン/kWhとなりました。2023年以降ではこれが4回目の料金改定で、2023年初からの累計上昇率は約18.2%にもなります。EVNは今回の値上げについて「為替変動に伴う石炭調達コスト増を補い、今後必要となるLNG(液化天然ガス)調達や再生可能エネルギー開発投資の原資を捻出するため」と説明しています。昨今は世界的な燃料市況だけでなく、ベトナム国内でも電源構成の転換期にあり、新たなエネルギー源への投資資金確保が課題となっているためです。なお、この2025年5月の値上げによるインフレ影響はごく僅か(CPI +0.1%未満)と試算されており、政府も適切にマクロ経済を管理しつつ電力価格の正常化を図っていることが窺えます。
以上のように、ハノイの電気料金は長らく安定していましたが、2023年からはコスト増に対応するため段階的な引き上げ局面に入ったと言えます。次章では、この背景にあるEVNの経営状況や再生可能エネルギー導入などの要因を詳しく見ていきます。
EVNの経営状況と再生可能エネルギー導入の影響
電力料金の動向を語る上で、供給側であるEVN(ベトナム電力公社)の経営状況と政策変更も重要です。
先述の通り、EVNは2022年に巨額の赤字を出しました。2022~2023年の2年間合計で約50兆ドン(約2,500億円)近い損失を計上したとも報じられています。このままでは発電所の新設や送電網の増強に必要な投資資金を確保できず、電力供給の安定に支障をきたす恐れがありました。事実、EVNは2025年に約110兆ドン規模の投資を行い、新規発電源の開発や送電網整備を進める計画を表明しています。この計画の実現には、電力販売収入の底上げ(すなわち電気料金値上げ)が不可欠であり、政府も電気料金の段階的引き上げ容認に舵を切ったのです。
また、この時期の重要なコンテクストとしてベトナムの再生可能エネルギー導入があります。ベトナム政府は2010年代後半から再エネ推進に力を入れ、高めの固定買取価格(FIT)を設定して太陽光・風力発電への民間投資を奨励しました。その結果、とくに太陽光発電は2019~2020年に大ブームとなり、2020年単年で11GW(11,000MW)以上もの太陽光発電設備が新規に並ぶ異例の増加を記録しました。これにより2021年時点の太陽光発電導入量は累計17.6GWに達し、ベトナムは世界有数の太陽光導入国となりました。再エネの拡大自体は将来的な電源多様化に寄与しますが、一方で急激な導入は送電網の逼迫や電力の一部カット(出力抑制)問題も招きました。また太陽光の初期FIT価格は1kWhあたり約0.09USドル(=約2,070ドン)と比較的高水準で、平均小売電気料金(当時 ~1,864ドン)を上回る水準だったため、EVNにとっては買い取りコスト増要因にもなりました。政府は2021年以降FITを終了し、未運転プロジェクトとの新たな価格交渉では上限単価を太陽光で0.0502USドル(約1,170ドン)まで引き下げるなど是正を図っています。
再生可能エネルギーの大量導入によって、EVNは電源構成の転換と設備投資という新たな課題に直面しています。水力・石炭火力への依存度が高かったベトナムは、異常気象による水不足や環境問題への対応も迫られており、これを契機に電源の多様化(ガス火力や輸入LNG、太陽光・風力の更なる活用)が国家戦略として掲げられています。2023年5月に承認された第8次電力開発計画(PDP8)でも、2030年までに陸上風21GW・洋上風7GW導入など積極的な再エネ目標が示されました。もっとも、再エネを大量導入するには送電網の拡充や蓄電池の導入といった投資が不可欠であり、資金不足のEVNにとっては大きなハードルです。EVN単独では投資需要を賄いきれないため、IPP(独立系発電事業者)や外資の参入も積極的に促す方針ですが、電力系統全体の強化にはなお時間と資金を要するとみられます。
こうした背景から、政府とEVNは電気料金の適正化(値上げ)による財務改善と投資原資確保に舵を切ったのです。一連の値上げはEVNの巨額赤字を解消しつつ、増大する電力需要と再エネ時代への対応に必要なインフラ投資を進めるための布石といえるでしょう。EVNは2024年には黒字転換を見込むまでに財政状況が改善する見通しとも報じられており、今後も段階的な値上げと経営効率化によって持続可能な電力供給体制の構築を目指すものと思われます。
一般家庭への影響と生活者目線の負担感
度重なる電気料金改定は、一般家庭の家計にどのような影響を及ぼしているでしょうか。結論から言えば、「2019年以降2022年まで据え置きだった分、2023年以降にまとまった上昇が来て負担感が増した」というのが生活者の実感といえそうです。
例えば、2023年5月に平均3%の値上げが行われた際、EVNは家庭への影響試算を公表しています。それによると月50kWhの消費世帯では電気代が月あたり2,500ドン程度増え、100kWhで+5,100ドン、200kWhで+11,100ドンといった具合でした。同年11月にも追加値上げがあったため、年間を通じた累積の負担増はこれらの数倍になります。たとえば月200kWh使う一般的な家庭では、2023年初めと2023年末を比べると月額で約4万ドン(約240円)以上の電気代増となった計算です。2024年・2025年にも値上げが続いたため、2019年と比べると同じ使用量でも2割近く電気代が高くなっています。
もっとも、ベトナム政府は先述のように低所得世帯や脆弱層への配慮策も講じています。電気料金の累進料金体系そのものも、少ない利用量なら料金単価が安く済むよう設計されており(実際、月50kWh未満なら単価約1,984ドン、月400kWh超では約3,460ドンと大きな差があります)、大多数の小口利用世帯では電気代の上昇幅は比較的限定的です。政府は電力価格上昇時に貧困世帯向け補助金や一時的な支払い猶予措置などで支援する方針も示しており、直近の値上げによる物価全体への影響も抑制されています。事実、2025年の消費者物価指数(CPI)への押上げ効果は最大でも+0.1%程度に留まる見込みと報じられています。
それでもエアコン利用が欠かせない暑季(5月~9月)の電気代負担は在住者にとって悩みの種でしょう。ハノイでは夏場気温が連日30~40℃に達し、冷房なしでは過ごせません。前述の累進料金により、エアコンをフル稼働させるとすぐ料金単価が上の階層に跳ね上がってしまいます。「電気代が高い月は家賃並みに出費がかさむ」という声もあり、特にエアコンが無いと厳しい西向き部屋などに住む場合は電気代増を覚悟する必要があります。
さらに在住者が注意すべき点として、住宅の種類による電気代単価の違いがあります。ベトナムでは自分で電力会社と契約して支払うコンドミニアム(分譲マンション)等では上述の公定料金が適用されますが、サービスアパートメント(家賃込みの高級賃貸)では物件ごとに独自の電気料金設定となっており、相場は1kWhあたり4,000~5,000ドン程度とかなり割高です。サービスアパートでは一定の使用量までは家賃込みだが上限超過分は別途精算といったケースも多く、契約形態によっては公定料金以上の負担増となることも念頭に置かなければなりません。
総じて、ハノイの電気代はここ数年で上昇傾向にあるものの、依然アジア地域では中程度の水準とも言われます。電力不足を背景に大幅値上げが続く近隣国もある中、ベトナムは慎重に段階的改定を行っており、政府の生活者支援策も奏功して深刻なインフレには至っていません。ただし今後も需要増大に応じた投資や燃料価格変動次第では追加の値上げが予想されるため、在住者としても電力を賢く使い節約する工夫がますます大切になるでしょう。
在住者向け・節電アドバイス
最後に、ハノイで暮らす上で役立つ節電のポイントをまとめます。ベトナムならではの住宅事情や気候を踏まえ、以下のような工夫で電気代を節約することができます。
エアコン頼みになりすぎない: ハノイの夏は蒸し暑いためエアコン(冷房)は必需品ですが、扇風機やシーリングファンとの併用で冷房効率を高めましょう。室温を下げすぎないようエアコン設定温度は26~28℃程度から開始し、いきなり最低温度にしないこともポイントです(※初めから極端に低温設定にしても冷却が早まるわけではなく、コンプレッサーがフル稼働して無駄な電力を消費するだけです)。エアコンの風量を弱めに設定し、代わりに扇風機の風で室内の空気を循環させると体感温度が下がり冷房効率が上がります。可能であれば省エネ型のインバーターエアコンへの切り替えも有効です(一般にインバーター無し旧型より電気代を抑えられます。
日射熱を遮る: 室内の温度上昇を防ぐ工夫も大切です。カーテンやブラインドを活用して直射日光を遮断しましょう。特に4~5月の猛暑期には「カーテンを閉めるだけでエアコン以上の効果がある」と言われるほど重要です。窓ガラスに断熱フィルムを貼るのも効果的です。日中留守にする部屋の照明は消し、遮光カーテンで室温上昇を抑えておけば、帰宅後に冷房で冷やすエネルギーも節約できます。
電気設備をこまめに管理: ベトナムの住宅では電気温水器(給湯器)が各バスルームについている場合が多く、使わない時も常時ONにしていると待機中も電力を消費し続けます。シャワーや湯張りの直前だけONにし、使わないときはスイッチをOFFにしましょう。また冷蔵庫やテレビ等の家電も長時間不在時には主電源を切る、プラグを抜く、あるいは待機電力カット機能付きのスマート電源タップを使うなど、細かな積み重ねで電力消費を抑えられます。エアコンのフィルター清掃も忘れずに(月1回程度)行えば冷房効率が維持され無駄な電力を食いません。
ピーク時間帯の使用をシフト: ベトナム南部の電力会社は猛暑時に日中11:30~14:30や夜間20:00~22:00のピーク時間帯における電力機器の同時使用を控えるよう呼びかけています。ハノイでも夏場は同様に電力需要ピークが発生します。洗濯機やアイロン、大型オーブンなど消費電力の大きい家電の使用は、可能であればピークを外した時間に行うよう意識してみてください。電力会社から停電回避や節電協力の呼びかけが出ることもあるため、ニュースやEVNの通知にも注意しましょう。
LED照明への交換: 古い蛍光灯や白熱灯を使っている場合、LED電球に交換することで消費電力を大幅に削減できます。ベトナムでも電器店やホームセンターで安価にLEDが入手可能です。照明は電力使用量全体から見れば大きな割合ではありませんが、焼け石に水と侮らず省エネ家電への置き換えを進めましょう(冷蔵庫・エアコンも可能なら省エネ性能の高いモデルへの更新を検討)。
住居選びの工夫: これから住まいを選ぶ方は、部屋の向きや断熱性にも注目してみてください。西日が強く当たる部屋や最上階の部屋はどうしても室温が上がりやすく、同じ生活パターンでも電気代が高くつく傾向があります。角部屋で窓面積が大きい物件も断熱対策が不十分だと冷房負荷が増えます。契約前にエアコンや扇風機の有無、遮光カーテンの用意などを確認し、大家さんと交渉して設置してもらえるケースもあります。サービスアパートメントを利用する場合は電気代の上限や料金単価も事前に確認し、必要に応じて自分でEVNと直接契約して支払う方法が取れないか検討すると良いでしょう。
以上、ハノイにおける電気料金の最新動向と節約術について解説しました。電力需給が逼迫する昨今、節電は家計を助けるだけでなく社会全体の安定供給にも繋がる大切な心がけです。ベトナム政府も「電気を節約し効率的に使おう」というメッセージを国民に発信しています。無理のない範囲で上手に節電しながら、快適で安全なハノイ生活を送りましょう。
参考資料・情報源: ベトナム商工省・EVN発表、JETRO海外ニュース、ベトナム現地主要メディア(VNエコノミー、Dân Trí 他)、在住者向け生活情報ブログ等。電気料金データは政府決定文書やEVN公表値に基づく。